組版の手ざわり

校正済み

このノートを始めて、最初に決めたのは、字の並べ方でした。画面の上でも紙の上でも、日本語の文章は、静かに並んでいてほしい。そのために、このサイトでは字間を詰めていません。詰め組は行を引き締めて見せる技ですが、ここでは、字がひとりでに並ぶことにまかせることにしました。字間はゼロ。これが、このノートの始まりの設定です。

行長は四十文字ほどにしています。長すぎる行は、目が次の行にもどる途中で迷子になります。四十文字ほどの行なら、息をつくように読み進められる。行送りは1.8。ゆったりと、しかし締まりを失わない幅です。窓の幅が768pxを下回ると、設定はそっと組み直されます。

通常の罫線には、利休鼠を使っています。主張しない、じみな色。墨の文字と白練の地のあいだに、そっと一本引かれるだけです。だからといって、粗末にしているのではありません。罫は、文章の呼吸を区切る拍子木のようなもの。色が主張すると、拍子のほうが目について、本文が散ってしまいます。

朱は、特別な席にだけ招きます。落款、徽章の細い罫、そして24px以上の大きな字。小さな文字に朱は使いません。見えにくくなるからです。この決めごとは、文字のコントラストに配慮した、このサイト独自の基準です。飾りは、飾りのままでいられるように。

組版とは、目に見えない気づかいのことだ、と思うことにしました。読むひとの注意を、言葉のほうへだけ向ける。そうして本文のそばに、静かに立っている。このノートの組み方は、まだ試行錯誤のさなかです——その「さなか」も含めて、書き留めておきます。

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