伝統色の名前をたずねる
校正済み
色に名前がついている、という事実が、昔から好きです。数字の羅列(#595857 など)は、どうしても事務的ですが、「墨」「白練」と呼ぶと、途端に手ざわりが生まれます。このノートの色は、ぜんぶ「Sabanote 和色大辞典」から選びました。五つ。少ないけれど、十分です。
地色は白練(しろねり)。練り上げた白糸の色です。まっ白ではなく、ほんのりと黄みを含んだ、手仕事のありそうな白。その上に置く文字は墨(すみ)。真黒ではなく、わずかに眠気の残る、やわらかな黒灰です。白練と墨は、紙と筆の関係をそのまま画面に写したもの、と考えています。
リンクは藍(あい)。藍染めの、底に沈むような青です。訪れたあとも藍のまま。訪問の前後を色で区切らず、下線と濃さだけで、静かにお願いする。贅沢をいえば、藍の甕の中で少しずつ色が深くなっていく、あの感じを出せればいいのですが。
朱(しゅ)は、このノートでは特別な席に座っています。登場するのは、記事の終わりに捺す落款の「徒」、徽章「校正済み」の細い罫、そして、いま読んでいるページの位置を示す短い罫線だけ。24pxに満たない文字に朱は使わない、という決めごともあります。小さな字に朱は、視認性が足りないのです。朱は、主役ではなく、名乗り。
通常の罫線は、利休鼠(りきゅうねずみ)。千利休にちなんで名づけられた、緑みを帯びた鼠色で、控えめで、隙間に馴染みます。この色があるおかげで、区切りは区切りとして、静かに存在していられます。
名前のある色は、ただの値ではありません。白練に墨、藍と朱、そして利休鼠。五つの名前がそろって、はじめて、このノートの畳が敷かれた気がします。次に色を足すときは、また辞典の頁を、ゆっくりめくります。